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  • 執筆者の写真Rutile Design

ブランディングの法則

更新日:2022年9月15日

私のコンセプトは「トータルコーディネート」で、

それは建築のことだけではありません。


一般的にはカフェを経営したいとなれば、

内装は建築屋か設計事務所に頼み、

ロゴはイラストレーターに頼み、

HPはWEBデザイナーに頼み、

レシピは料理人に任せ、

できるところは自分で適当に…


なんてパターンが多いと思います。


そうでなかったとしても、

親戚に美大出ている人がいるから、ロゴは親戚に頼むとか、

知り合いにWEBデザイナーがいるからHPは知り合いに作ってもらうとか、

工務店の社長と友達だから工事はその人に頼むとか、

だいたい悲しい結末が待っています。


もちろん、奇跡的なマッチングでうまいこと運ぶこともあると思いますが、

ほんとうにこれらのパターンはうまくいった試しがありません。


一般的に建築工事の分離発注はリスクが高いということは、

建築を知らない人でもなんとなく想像がつくと思います。

大工さんだけ工務店に頼み、設備やは親戚、電気屋は友達に頼んだとしたら

高確率でトラブルが起こると思われます。


現場では日々様々なアクシデントや思いもよらないことが起こります。

電気屋さんが発注して現場に置いておいた照明器具が知らない間に

破損していたとしたら、この場合誰の責任になるのか?

設備屋さんの手が遅くて工期が遅れたことにより大工さんが2日余計に

現場に来なければならなくなっとしたらその人工賃はだれが払うのか?

友達の電気屋は簡単な工事ならできるけど後になってやっぱりこの工事は難しいとか

言い出したので結局別の電気屋さんを手配した挙句現調費用をよこせとか言われたら

支払わなければならないのか?


全部まとめて工務店に頼んでおけば、発注者(お客様)はそんなトラブルで

頭を悩ますことも、余計な金銭を払うことも、

今後の親戚・友達付き合いが気まずくなることもありません。


最初からプロに頼めば工務店の現場監督さんが工事のスケジュールや、

作業スペースの確保、職人さん同士の相性までもを考慮して

(たまに合わせちゃいけない組み合わせの職人さんがいる)

うまいこと調整してくれていているから、

しっかりスケジュール通り、予算通りに工事が完了するわけです。


それなのに、なぜだかデザイン面においてこの現場監督は

とても大きくて立派なデザイン会社しか担っていないので、

(しかも高いわりにたいした仕事はしない)

中小企業やましてや個人のお客様は頼むことができないことが多いと思います。

そして、それを頼もうと思う発想すらない人も多いと思います。


しかしながら、何か商品を販売する時や、会社が新しいプロジェクトを始める時、

このデザインの現場監督は非常に重要な役割を担います。


例えば、たったひとつの「キャンディー」を販売する時。

それは今までになかった斬新なキャンディーで、

食べた人は新感覚を味わえることができて、しかも美味しい。

ちょっと高いけど、やみつきになる新しい時代のキャンディーだ!と、

開発者が説明をしたとして、デザイナー側の私としては、

まずその視点を疑うところから始めます。

実際に食べて、体験し、想像します。


どんな人がどんな環境でどのように楽しむべきものなのか。

それを食べたときどんな気分で、男性だったらどう感じるだろう?

こどもはどうだろう?と考えます。


キャンディーの見た目、形状、コンセプトから様々なシチュエーションを想像します。

そこで私はデザインコンセプトを、「斬新な多様性キャンディー」としたとします。

まず、キャンディーとしてはちょっと高いので高級感はださなければなりません。

そして斬新さを表現するためにバリっと目を引くデザインにします。


更に、その斬新さ・高級感は今までのキャンディーと違い、

ちょっとしたギフトにもなるのでギフトボックスもデザインします。


しかしながらまだそれではキャンディーのブランディングとしては不完全です。


そのキャンディーは、ただ食べるだけではなく、飲みものに入れたり、

お菓子作りにも利用できる「新しい」キャンディーなので、

その使い方やもっとおいしく食べるためのアップグレードを方法を表現した

「多様性」を認知させるためのPOPやカード、WEBページも作らなければなりません。


ここまでやって、はじめてその「斬新なキャンディー」の価値が表現されるのです。


また、それに伴う写真撮影やキャッチフレーズだったり、

多岐にわたってほんとうにいろいろなものを考え、デザインしなければなりません。


これを統括する現場監督がいない場合、結局コンセプトやデザインがばらついて

残念な結果に終わるだけなのです。

そして、それが本質的に良い商品であっても、ブランディングが下手で

埋もれていくこともあります。


逆に言うとブランディングさえうまくいけば、商品自体にたいした価値がなくとも

いい線はいくと思うのです。

ただただおしゃれなだけで不味いコーヒーをだすイマドキのカフェがそこそこ流行っているように。


たったひとつのキャンディーですら、

こんなにもたくさんのものをデザインしなければなりません。


それが企業のプロジェクトや、お店をだすとなるともっと様々な角度から検討したり、

デザインするもの、制作するものは増えていきます。


私の経験上、大きな企業ほど「偉い人」が多いので、

途中で目的を見失ってそもそものコンセプトに反する

「ご意見」をいただいたりすることが多々あります。


そんな時に、そもそものプロジェクト発動の段階で

明確なコンセプトを決めてブランディングイメージを固め、

そこからブレさえしなければ間違いなく良いものが出来上がり、

目標を達成することができるのです。


建築であれ、パッケージであれ、WEBであれ、

デザインは「目的」さえハッキリしていればある程度は

自動的に構成されるはずなのですが、

なぜだかその目的さえもはっきりしないまま

作られる商品や建築がとても多いように感じます。


札幌の飲食店などは開業して2年継続できていれば

良い方だと思います。


残念なお店や商品の多くは「ブレている」のです。


添加物を使わない健康的なランチを売りにしているのに

喫煙室があるお店には違和感しかありません。


高級なお寿司屋さんで立派な一枚物の無垢材のカウンターに

家のプリンターで印刷したんですかみたいなショップカードがあると違和感があります。


あきらかにここで写真撮ってインスタにあげてね、というスペースが

あるにも関わらずその背景にラミネートべたべた貼ったり、

お店のコンセプトとは全く関係ないペイントが施してあると違和感です。


目に見えるもの、触れるもの全てをブランディングに基づいて

構成すれば「間違い」は起こらないはずです。












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